白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
龍 「『十環』って呼び捨てで良くないか?
桃、俺を十環だと思って
ちょっと呼んでみろよ」
桃 「……十環」
龍 「ないな」
恋 「ない。ない。
番長感が出すぎだし」
虎 「女らしさがゼロだな。
桃、呼び捨てはやめておけ」
桃 「……言われなくてもわかってるから。
虎兄はさ、なんて呼ばれているの?
彼女さんに」
虎 「おい!桃!
みんなの前で何言ってんだよ!」
龍 「虎、お前、彼女なんていたのかよ」
恋 「龍兄、気づいてなかったの?
虎を見てれば
そんなのわかるじゃん。
父さんと母さんだって
気づいていたよね?」
父 「ああ」
母 「もう、私の楽しみだったのに。
虎が私たちに
彼女がいることを隠せてるって
思い込んでいる姿を見るのが」
虎 「まじか……」
桃 「それで。
虎兄は、彼女さんから
なんて呼ばれているの?」
虎 「……」
龍 「ああ~もう!
彼女がいるなんて羨ましいな。
それくらい言えよ、虎」
虎 「……とら……ちゃん」
キッチンに
みんなの笑い声が響きまくった。