白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「おい、桃。
 家に帰ってからってなんだよ。
 ここでちゃんと話せよ」


「十環先輩が
 龍兄に電話を代わってって」


 私は龍兄に、スマホを渡した。


「おい、十環。
 今俺さ、桃と大事な話があってさ」


 十環先輩なら
 龍兄が傷つかないように
 伝えてくれるよね。


 あれ?


 龍兄の瞳が……
 だんだん濁ってきた……


 え? え?


 龍兄……
 フラフラと電信柱の前に行くと
 柱に向かって
 ガンガン頭をぶつけだしたし……


 そしてそのまま
 溶けたソフトクリームみたいに
 フニャフニャになって
 地面に倒れこんじゃったし。


「桃……スマホ返す……」 


「あ……うん」

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