白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
なんで
部屋が暗いんだよ。
カーテンを閉め切り
部屋の電気もついていない。
机の上のライトだけが
頼りなく光っている。
その机の前に
頭までフードをかぶった小百合が
ドアに背を向けて座っていた。
「小百合
いるなら返事くらいしろよな」
俺が部屋の電気をつけた瞬間
驚いたように振り向いた小百合。
耳にヘッドフォンを当てたまま
目を見開いて固まった。
その瞳からは
なぜかボロボロと涙がこぼれていて。
俺が来る前から泣き続けていたことを
証明するかのように
袖の色が、涙で変わっている。