白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 この『後で』という響きが
 可愛くて。


 俺はいつも
 六花を離したくなくなっちゃって。


 腕に力を込めて
 六花を抱きしめちゃうんだけど。



 今日はどうしても
 六花にお願いしたいことがあって。

 さらっと腕をほどいた。



「ん?」


 いつもと違う俺に
 六花も違和感を覚えたらしい。


 俺がリビングに向かって歩き出すと
 六花は手にしていた
 ボールと菜箸を置いて、
 俺の方に駆けてきた。


 そして後ろから俺に抱き着き。

 俺の背中に
 頬を押し当ててきた。



「いっくん……
 何かあった……?」

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