白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
いつもここに来たら
大好きなショップの新作の服を
チェックせずにはいられないのに。
今はそんな気分にすらなれない。
あてもなく
ただモールの中を歩いていると
聞き覚えのある声が。
「あれ~?
一颯(いぶき)っちじゃん」
この声は……
「恋都(こいと)さん……」
「何?何?
もしかして、りっちゃんとデート?」
は~。
この軽いノリ。
ズカズカと俺の心に
入り込んでくるこの感じ。
今、会いたくなかったタイプの
人なんだけどな。
桃ちゃんの2番目のお兄さんだし。
六花の親友の兄だけに
むげにはできない。