白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「一颯っち、刺繍得意でしょ。

 桃が持ってたお守りも
 一颯っちが刺繍したって聞いたよ。

 チクチク針を刺しながら
 おしゃべりしたらさ
 すっきりするじゃん」



「しません……」


「するよ!!
 俺なんて
 すっげーイライラしたときなんか。
 愚痴りながら
 ひたすら刺繍しまくるからね」



「恋都さんって……

 寂しい人ですね……」



「寂しい人って……。

 一颯っちはもっと俺に
 優しくしてくれると思ったのに……

 でもさ、だまされたと思って
 俺の家に来ない?」



「全く行く気になれないんですけど……」


「じゃあ、テント張って野宿だね」


「だから、ファミレスに行きますから」

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