白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「なに? なに?
一颯っち。
入り口で固まっちゃって」
「なんか
俺の思っていた部屋と
違うなって思って」
「どうせ、パステルカラー全開で
ごちゃごちゃしてる
イメージだったんでしょ?」
「あ……はい」
「離れにある作業場はさ
ロリータ感満載のスペースだよ。
でもね、自分の部屋まで
『かわいい』で飾っちゃうと
仕事とプライベートの区別が
つかなくなっちゃうからね。
俺、黒一色とか、白一色とか。
そういう空間にいると
なんか癒されるから」
「そういうものかなぁ。
でも、恋都さんは
片付けが苦手そうって思ってましたけど」
「え~。
一颯っちってさ
俺にどんなイメージ植え付けてたわけ?
俺、片付け、超得意だよ。
クローゼットの中に
ほとんどの物をしまってあるけど。
物の置き場がわかるように
ラベルを貼ってるし」
「そこまでしているんですか?」
「だってさ、
使いたい物が見つからないと
イライラしない?
俺さ、イライラが募りすぎると
壁を殴っちゃうし」