白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「最初はさ、親に復讐したくて
 ロリータ服を作り出したんだけど。

 俺が高校に入ったくらいからかな。

 俺の作る服を『かわいい』って
 クラスの女子が
 言ってくれるようになって。

 なんかそれが嬉しくて。
 どんどんはまっちゃってさ。

 それで、今は
 ロリータ命って感じだからね。
 人生、面白いものだよね」



「ショッピングモールで
 俺に言ったことって、本心ですか?」


「なんだっけ?」


「恋都さん、言ったじゃないですか。
 イライラしたら
 縫物をすると落ち着くって」


「あれね、本当だよ。
 本気でムカついた時とか
 ブツブツ言いながら縫物してるよ。

 声が大きすぎて隣の部屋の虎から
 『うるせぇ』って
 壁を叩かれる時もあるけど」



「俺はそういうの……ムリかも」


「ん?」


「六花のことでイラッとしたときとか。
 あいつにキツク言わないと
 収まらないって言うか」


「一颯っち何かあったんでしょ?
 りっちゃんと」


「別に……何も……」


「もう。
 そんな顔で『何も』とか言われても。
 りっちゃんとケンカしましたって
 バレバレ」
< 300 / 337 >

この作品をシェア

pagetop