白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
俺の描いたイラストに
恋都さんが『センス無し』とか
『ビビッてこない』とか
チャチャを入れてきて。
決まったマークを
試しに刺繍してみて。
そんなことをしているうちに
時計は深夜0時を回っていた。
「恋都さん……
お願いがあるんですけど」
「何?」
「俺をさ、家まで送ってくれませんか?」
「今?」
「……うん」
「りっちゃんのことを考えながら
刺繍してたら
会いたくなっちゃったんでしょ?」
「そういうわけじゃ……
ないですけど……」
「素直じゃない一颯っちも
かわいいんだから。
いいよ。家まで送ってあげる」
「ありがとうございます」
「そのかわり。
これは借りだからね。
今度絶対に
ステー衣装づくりのモデル
してもらうからね」
「……はい」
俺は素直に頷いた。
だって
今日は恋都さんに助けられたなって
本気で思えたから。
今なら六花に。
素直に謝れそうな気がする。
この時の俺は
そんな気持ちで
恋都さんの車に乗り込んだ。