白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 私はベッドから降りると
 床に座り込んでいる いっくんの膝に
 頭を乗せてみた。


 いっくんに膝枕をしてもらうの
 久しぶり。


 
 嬉しいな。
 私が伝えなくても
 いっくんはちゃんとわかってくれている。

 私がいっくんの大きな手のひらで
 頭を撫でてもらいたいってことを。



 頭をいっくんの膝に乗せたまま
 私は大好きな瞳をまっすぐ見つめたくて
 いっくんを見上げた。



「料理中にいっくんが
 抱き着いてくれるのとか……
 本当は……すっごく嬉しいからね」



「それって、どういうこと?」


「だから……
 いっくんのことが、大好きってこと」

< 315 / 337 >

この作品をシェア

pagetop