白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
私は桃ちゃんの腕につかまりながら
早足に校門を目指した。
って……
門まであと少しってところで……
10名ほどのお姉さま方に
つかまっちゃったし……
その中で一番リーダー格っぽい
お姉さまが
口裂け女並みの真っ赤な口で
不気味な声を発した。
「あんたたち、ちょっといい?」
「いいですけど。何か用ですか?」
さすが桃ちゃん。
鋭い目つきで私たちを睨むお姉さま方に
一歩もひいてない。
「その色のベストは
誰も着ちゃいけないって
暗黙のルールがあるんだけど。
あんたたち知らないの?」
「え……と……
そのルール……
誰が決めたんですか? 」
私も必死に言い返してみたけど……
「一颯先輩と、十環先輩に
決まってるでしょ!」
きつい言葉で跳ね返されてしまった。