白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
☆虎兄side☆

 俺は清香(きよか)の家に着くと
 インターフォンを押した。


 玄関のドアを開けてくれたのは
 清香のおばあちゃんだった。


「あら、虎太郎(こたろう)くん」


「あの……清香さん……いますか?」


「ごめんなさいね。
 あの子、今、
 誰にも会いたくないみたいなの。
 今日は帰ってくださるかしら?」


「そうですか……」


 そりゃそうだよな。
 
 もう俺なんかに
 会いたくもないよな。


 でも
 これだけはどうしても伝えたい。

 俺のプライドが邪魔をして
 今までずっと
 清香に伝えられなかった言葉を。


 清香に勘違いされているままじゃ
 嫌だから。
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