白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「清香さんに伝えてもらえますか?」
「え?」
「…………大好き……だって」
俺、清香のおばあちゃんに
何を言っちゃったんだろう。
どうしても
清香とこのまま別れるなんて嫌で
何とかしなきゃと思った時には
おばあちゃんに
すごく恥ずかしいことを口走った
自分がいた。
「すいません。
今俺が言ったこと
伝えなくていいですから。
また来ます」
あまりの恥ずかしさに
玄関から飛び出そうとしたとき
穏やかな声が俺の耳に届いた。
「虎太郎くん。
上がっていって」
「え?」
「清香、2階の自分の部屋にいるから」
「……でも」
「今の言葉は、
あなたから、あの子に伝えてあげてね」
清香のおばあちゃんは
俺の心を癒すような
優しい笑顔を俺に向け
リビングに入っていった。