白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
違う人に告白したのかなって
思っちゃった。
だって虎ちゃんとは
中学が一緒だったけど。
同じクラスになったことなんて
なかったし。
まともに話したことすらなかったから。
虎ちゃんとの接点があったとしたら
私が中2の冬。
車にひかれそうになった私の腕を
虎ちゃんが引っ張って
助けてくれた時だけ。
私が『ありがとう』って言ったら
『周り見て渡れよ』って
ムスッとした顔で言われ
そのまま去って行っちゃったくらい。
怖い顔で言われたのに。
その時の虎ちゃんの顔を
思い出すだけで、
体中が熱くなっちゃうくらい
私は虎ちゃんのことが気になり始めた。
でも……
中3になったら
虎ちゃんは中学をまとめる番長になって
余計私なんて近寄れなくて。
高校でも
虎ちゃんを慕う男子や
虎ちゃん目当ての女子に
いつも囲まれていて。
私はいつも
隠れて虎ちゃんを見ていることしか
できなかった。