白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「で?
清香さんのこと
龍兄に紹介してもいいわけ?」
「……それは……ムリ」
虎兄、
意外にかわいい顔をするじゃん。
顔はムスッとしているのに
耳まで真っ赤だよ。
恥ずかしいんだろうな。
妹に
好きな子の話なんてさ。
「ふ~ん」
私はそっけなく返事をして
また漫画を読み始めた。
「桃、それ以上聞かないのかよ?」
「え?」
「だからさ
清香とどうなったかとか……」
「何? 聞いてほしいわけ?」
「は?
お前になんか話す気ないし」
「まあ虎兄なら、そう言うと思ったよ」
そんなのお見通しだよ!って思いを込め
ニヤリと虎兄に微笑んでみた。
虎兄の顔に赤みが増して
明らかに動揺している。
そんな虎兄は「これ……」とつぶやくと
そっぽを向きながら
紙袋を差し出してきた。