白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「何よ、この紙袋」
「一応……桃へのお礼」
「は?」
紙袋の中には
中身が見えないビニール袋で
くるまれたものが入っている。
「桃は絶対に、中身を見るなよ」
「何それ。
私にくれるんじゃないの?」
「十環に渡せよ。
いいな。
お前は絶対に、見るな!」
「……わかったよ」
私は虎兄から紙袋を受け取ると
机に置いて
また漫画に目を向けた。
ん?
虎兄、なんでまだ
私の部屋にいるわけ?
虎兄の表情を見れば
清香さんとよりが戻ったことは
わかったから。
もう、自分の部屋に
帰ればいいのに。
そう思うのに
虎兄は床を見つめ、突っ立ったまま。