白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「な、桃、お願い。
4月になったらさ
毎日俺が弁当を作ってやるから」
「それはダメ。
だって、2日に1回の恋兄の作る
グロテスクなお弁当を、
六花が楽しみにしてるからさ」
「じゃあ、俺の宝物をやる。
忍者修行に行った時にさ
師匠からもらった秘伝書でさ」
「そんなものいらないから。
もらった瞬間に
古本屋に売りに行くからね」
「なんだよ、それ。
すっげー貴重な秘伝書なのにさ。
あ~。もう、これしかないか。
3年前に一颯にもらってからさ
これだけは誰にも渡さないって
すっげー大事にしてきたけど。
これ、桃にやるから」
「だから、龍兄の宝物なんて
もらっても嬉しくないから」
「桃、よく見てみろよ」
ん? 写真?
幼稚園くらいの男の子が写っている。