白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
まだ、十環先輩が発した残酷な声が
耳の中にこだましている時
私の瞳が何かを捉えた。
見てはダメと
冷静な私がささやいているのに
瞳は従ってくれない。
私は十環先輩の机の前に来ると
置いてある
1冊の雑誌を手に取った。
この雑誌……
結愛さんがモデルとして載っている
雑誌だ。
見間違えるわけない。
だって、コンビニのゴミ箱に
これと同じ表紙の雑誌を
私は投げ捨てたんだから。
雑誌の中間あたりに
付箋が挟まっている。
開いて確認したい。
この付箋のページには
何が載っているのか。
でも……
結愛さんだったら……どうしよう……
そう思うのに、
手は止まってなんてくれなくて
目をつぶりながら
付箋のページを開いてみた。
そして少しだけ、瞼を開けた。
やっぱり……そうか……
満面の笑みの結愛さんが
そこには写っていた。
何やってるんだろう、私。
わかってたはずだよね。
十環先輩が好きなのは
結愛さんだって。