白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「十環くんは
 このまま寝かせておけば大丈夫ね。

 あの子最近
 明け方まで部屋で何かをやっているのよ。
 ちゃんと寝なさいって、私、言ったのよ。

 そうだ、桃華ちゃん。
 朝ごはんまだでしょ?
 食べていかない?」


「いえ……そんな迷惑なこと……」


「迷惑だなんて、とんでもないわ。
 龍牙くんだって
 この家に泊まった時には
 朝ごはんをガツガツ食べてくれるのよ。

 今朝だって
 ご飯を2回もお代わりしてくれて。

 小百合も十環くんも、食が細いから
 龍牙くんがいると
 朝ごはんをはり切って作っちゃうの。
 それで、
 今朝は料理を作りすぎてしまったのよ」


「でも……」


「桃華ちゃん、ダメかしら……」


 十環先輩のお母さん。

 明らかに悲しんでいますっていう目で
 私を見ないでください。

 断れませんから。


「じゃあ……いただきます」


 そういうと
 十環先輩のお母さんは
 ニコニコと微笑んで
 私を1階のダイニングに案内してくれた。


 促されるまま
 ダイニングテーブルの前に座り
 キッチンに立つ十環先輩のお母さんに
 話しかけた。


「すいませんでした。 
 昨日は龍兄が、迷惑をかけたみたいで。
 龍兄は、もう帰ったんですか?」


「6時すぎには帰って行ったかしら。
 今日は子供たちに
 空手を教える日だからって言って。

 それに、迷惑だなんてとんでもないわ。
 私も主人も
 龍牙くんが今度はいつ
 来てくれるかなって
 楽しみにしているのよ。

 龍牙くんは
 私たち家族の恩人だからね」


「え?」
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