触れたい、できない



「_えっと、ここが資料室か」




私と万屋は4階に上り、資料室の鍵を使って中に入った。



「やることは……アンケートの集計と前年度との比較、か」



電気をつけ、無言で向かい合って座る私たち。



「じゃあ…やろう」










_作業を始めて5分。




ちょっと…



……なんでこいつ一言も喋んないの?!



いやさっきはなんか様子が変だったから、何事も無かったかのように振る舞ったけど!



少なからずこっちは傷ついたんだよ?!



さっきの行動に弁解くらいあってもよくない…?



_私は耐えきれず、チラチラと万屋をしきりに見だす。




「………」




万屋は黙々とアンケートの集計をまとめている…

というか、聞いてなかったくせになんでわかるんだろう。



「……」



にしても、朝はあんな毒舌ぶっぱなしてきた男がこんな塩らしくなっちゃって…



_や、まだこっちの方がましだしいっそこのままの方がいいか?



「…」



ってか集計出すのはや過ぎない?!
私の倍速なんだけど_



「……そろそろ、チラチラ見るのやめてもらえます?」
< 10 / 53 >

この作品をシェア

pagetop