触れたい、できない




「ぎゃっ!」




突然顔を上げて口を開いた万屋。



その拍子に、びっくりした私はペンを吹っ飛ばしてしまった。




_カラカラ…




「……」



「……」



_私はチラッと万屋をみる。




「拾いませんよ」



「ちっ!」



私は仕方なく、転がったペンを自分で拾った。



…と同時に、気づかれないよう安堵のため息をこぼす。



あーよかった…とりあえず話してくれて。



会話が成り立たなきゃ、仕事もまともに出来ないしね?



聞きたいことは色々あるけど、とりあえず今はあまり刺激を与えないでおこう…



_とりあえず私はまた席に戻り、作業を開始した。







「_あーねえ、万屋……………くん。ここのデータさ…」



私は疑問に思ったことを聞こうと顔上げる。



すると、



「…その気持ち悪い呼び方、やめて貰えます?吐き気がします」



突然、顔も上げずに冷徹な言葉を放つ万屋。



……………は?



今なんて?



「……気持ち…悪い?」



「はい。その妙な間のある''くん''付け、違和感でしかないんですけど」



違和感…て…



こちとらあんたみたいなやつでも、一応礼儀としてそう呼んでるんだよ?!



それを違和感って!



「そっそりゃ慣れてないけども!!一応今日初めて会ったし、礼儀というものを重んじて…」



「慣れてない時点からもう重んじることは諦めていたんでしょう?なにを今更」




「はぁ?!」



なっんなんだこいつはああぁぁあ!



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