触れたい、できない



_ガガッ……下校時刻となりました。まだ校舎に残っている生徒は_




「ありゃ、もうこんな時間だ」



_熱中しすぎた私たちは、あれから3時間もぶっ続けで作業をしていた。



「終わりませんでしたね」



「…うん」



下校時刻をしらせる音楽が流れる中、まだ山積みになっている資料たち。



…先生、正直初日から任せる量じゃないと思うよコレ



「アンケートの集計はいいんだけど、前年度との比較がなぁ…」



前年度の資料探しから始まったからか、長時間ぶっ続けでも終わらなかった




「…あの僕そろそろ帰っていいですか。用事あるんで」



万屋の言葉に、ふと私は横を見る。



「えっちょ、早!」



_するとそこには、あっという間に帰り支度を済ませ、ドアに手をかけている万屋。



「では」



「え?や、待てーい!!」



普通こういう時って、委員同士一緒に帰るもんじゃないの?!



それを平然とスルーして勝手にひとり帰るだなんて!



「こっの薄情者ー!」



_私はまだ片付けられていないペンやルーズリーフをかばんに詰め込みながら、思い切り叫んだ。

< 14 / 53 >

この作品をシェア

pagetop