触れたい、できない
「ぎょえっ!!」
_びっっくりした…
不意打ちで声をかけてきたのは…蓮。
ちょっと…思わずカエルみたいな声出しちゃったじゃ_
「今の声カエルだったな」
「うっさいわ!」
今のは自分でも思ってましたよ!
わざわざ言わなくっていいじゃん!!
蓮むくれる私にフッと笑い、背中を向けた。
「さー、とっとと帰るぞ」
「やっ、帰りますけど!」
何事もなかったかのように靴を取りだす蓮。
…っとに、蓮も大概腹立つなぁ
私はムッと眉間に皺を寄せながら、蓮の横で歩き出す。
って、あれ?
蓮………?
「え、蓮?なんでここにいるの?」
私は立ち止まり、今さら目を見開く。
_確か、水泳部の仮入部は2時間前には終わってるはずじゃ…
「いやお前、帰り方わかんねーだろ?」
…ぐっ
「たっ確かに駅までつけるか不安だったけど…行けないこともなかったし」
こんな情けない私のために待ってくれていたと思うと、申し訳なくなり口ごもる私。
「あーはいはい。じゃー早く帰んぞ。こっちもそろそろ体動かしてえんだよ」
そんな私には苦笑し、急に走り出す蓮。
「えっ走るの?!ちょ、待ってってば!」
_私は慌てて軽々と走る蓮の後ろを追いかけた。