触れたい、できない


蓮はいつも私がこうやって睨むと、ははっと笑って誤魔化してくるのに。



「……?」



私は首をかしげながら、蓮を見つめた。



…窓の外を眺めながら、どこか寂しそうに何かを考えている蓮。


さすがに心配になって、声をかけようとした瞬間、



「_まぁ万屋に頼んどくわ、お前のおもり」



と、ニッと笑いながら嫌味を吐いてきた。



「えっ?あ、いやだから私はおもりじゃな…」



_プシューッ



私の反論に見事に重なる電車の到着音。



「…ん、終点着いたぞ」


それが聞こえたとほぼ同時に、蓮はスタスタと歩いていってしまった。



「えっちょ、待てこら!私の反論聞きなさいよー!」
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