触れたい、できない


「_行ってきまーす!」




私は食パンをくわえて、まだ閉めきれていないバックを片手に家をとび出る。



せっかく今日は早く行って、資料まとめを進めようと思ってたのに!



昨日出ようと思ってた時間からちょっと遅れた…



「蓮に早く出ること言い忘れたのは申し訳ないけど…!」




昨日はあれでいっぱいいっぱいだったんだから、しょうがない!




時計を見ながら駆け足で駅に向かう。




_プシューッ




「わあー!ちょっと待って!」



今にも出発しそうな電車に大きく手を振りながら、無理やり乗り込む。



あっぶな……



あと1分家出るの遅れてたらいつもの電車に乗るとこだった…



私は汗ばんだ額をぬぐいながら、いつものシートに座る。



さすがにこの時間帯だと電車内はすっからかんだ。



いつも人が多いイメージがあるが故に、少し寂しかったりもする。



_いやでもそんなことより、今は…



「蓮なしで学校…たどり着けるかなあ」



そっちの心配のが、大きかった。
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