触れたい、できない



「_…………やっぱあんた優しいじゃん」





「だから別にあなたの為じゃないって言ってるじゃないですか!」




2人で登校したと思ったら、何故か学校に着いてからも同じ道を歩いた私たち。




そしてその先には…






そう、あの資料室。




「昨日終わんなかったから、少しでも仕事減らそうとしてくれたんだよね?!朝早く来て!」




「だから違いますって!」




私の負担を減らそうと思っての行動…とは考えにくいけどまあ結果良い奴だよね。




ニヤニヤが止まらない私と、それをキッと睨みつける万屋。



同じ思考してるとか、意外といいコンビなんじゃない?私たち。




「僕は今日早く帰りたかっただけです」




少し顔を赤くしながらメガネをかけ直す万屋。




…もう、素直になりゃもっと可愛いのに。









…………ん?可愛い?




いやいやいや何言ってんだ私。




こんな毒舌で高身長で可愛げすらないやつにそんな言葉似合わないでしょ。




…疲労で頭おかしくなったかな。




私はぶんぶんと頭を振り、すぐに作業に取り掛かった。


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