触れたい、できない
「ふぅー、何とか今日中には終わりそうだね」
随分と減った机の上の資料を横目に、私はうーんと伸びる。
朝ここに来て席に着いた時、やっぱ帰ろうかなと思ったくらいあったのに。
「…そうですね」
それに答える万屋。
ううん、やっぱりこいつ仕事出来るんだなぁ。
口が達者ってことは頭の回転も速いってことだもんね。
正直初めはこいつとなんか委員やっていけない!なんて思ってたけど。
…今となってはそこまで嫌じゃないかな
私はチラッと万屋の様子を見る。
さっきそうですね、なんて相づちを打ったから私同様休憩しているのかと思いきや、カリカリとペンを動かしている万屋。
…ス、ストイックなんですね…
「ちょっと休憩したら?」
肘をつきながら手を動かし続ける万屋に、声をかける。
今日の放課後もあるんだし、そんな詰めてやらなくても…
「いや、今日は僕本当に早く帰りたいんで。」
そう言うと、フッとこちらに目を向ける万屋。
_朝日に照らされて、万屋の黒髪が揺れる。
その瞬間、
_キラッ
…………あれ?なんか今、万屋の目が光ったような…
「僕と紺サンの仕事、きっちり2等分したんでその仕事はお願いします」
「えっ?ちょ、いつの間に!」
知らずのうちにきっちりと分けられていた仕事。
…てかこれ…
「明らかに私の方が多くない…?」
山積みになっている資料を見ると、一目瞭然。
私の山の方が5センチ以上高いんですけど。
「…………変わりませんよ」
「いや変わるわ!!交換して?」