触れたい、できない
「っ」
駆けてきた男子が、万屋にぶつかった。
その拍子に、万屋はよろめき床に倒れる。
「やべー!俺の皆勤賞という夢があ!」
ぶつかってきた男子はそれ気が付かなかったのか、そのまま走り去ってしまった。
「ちょ、万屋大丈夫?」
細身だけど高身長な万屋は、倒れるとそれなりの衝撃がくるはず。
…割と嫌な落としたんだけど、無事かな?
「ほら、手!」
床に手を着いたままの万屋に手を差し伸べる。
すると、万屋は一瞬ビクッとしたかと思うと
「結構です。1人で立てます」
と言い、窓の方にふいっと顔を背けた。
…瞬間、
_キラッ
また、万屋の瞳が光った。
日光が長い黒髪から覗く瞳を光らせる。
…今度はハッキリと、そして
………美しく。