触れたい、できない
「ねーねー、君何センチあるの?」
「一緒にバレー部入んねえ?」
……隣でにぎわう男子の塊。
その中心にはメガネをかけた男子。
_私ははぁ…とため息をついた。
別に初日から席替えがあって、窓際から離れちゃったのはまだいいんだよ?
_でも
でもでもでもでも……!!
「これは無くない?!?」
バンッと私は机を叩いた。
真横の席には、さっきの自己紹介で横にいた男子。
そう…
…………とっても身長がお高いメガネ男子。
「神様は不公平だよ!!!」
私は机につっぷす。
「…席に文句言ってんの?自分の身長に文句言ってんの?」
「どっちもだわ!!!」
私がハンカチを噛む横で、おしるこジュースを飲んでいるこの男。
こいつは、皐月原 蓮(さつきばら れん)。
蓮とは幼なじみ兼、中学からここに進学した数少ない友達だ。
そして蓮も水泳部。そのせいか、肌は綺麗に焼けてこの季節でも見事に茶色だ。
まあ、爽やかな名前にあったスポーツ少年ってやつ。
「……にしても」
私はつっぷした顔をあげてジト…と蓮の手元を見る。
「おしるこは…ないわ……」