触れたい、できない
「_はぁ…もうほんと何だったの?」
私は弁当箱を片しながらため息をつく。
結局あれからチャイムが鳴るまで蓮は離してくれなくて。
そうこうしてるうちにドアの人影はいなくなっていた。
「もー万屋に弁解しなきゃいけないじゃん!あの時すぐ行ってればちょっとは_」
「あーはいはい。悪かったって」
グチグチ言いながら髪をいじる私を遮るように、言葉を発する蓮。
…絶対、悪いなんて思ってないでしょ
前の席で予習しながら適当に返してるんだもん。悪かったね、予習の邪魔して。
「はぁ〜」
私はもう一度大きなため息をついて、横の席に顔を向ける。
_万屋はチャイムが鳴ってからなかなか帰ってこない。
もうあと2分で授業始まっちゃうのに…
私情で授業サボるタイプには見えないし、何かあったとか?
何かってなんだろう…
…え、やっぱり……私のせい?
私が万屋の秘密を軽々しく話しそうになったの聞いてて、怒りで顔がすっごいことになっちゃってるとか?
それでそんな顔で教室入れないから、今来てないんじゃ…
1度そう思うと、もうそうとしか思えなくなってきた私は、バッと立ち上がった。
そして、
「先生、私体調悪いので保健室行ってきます!」
と先生に叫び、教室から飛び出した。