触れたい、できない
「ありがとうございますっ」
私はついさっきまで使っていた気遣いをすっかり忘れ、ベットのカーテンを思い切り開ける。
そして、
「万屋!ごめんね!!」
その勢いのまま、頭を下げた。
そんな私に、保健室の先生は口をあんぐり開けて、言葉を失っている。
…先生、ごめんなさい。でもなんか私の細胞が今きちんと万屋と話さなきゃって…
私は目をぎゅっと瞑ったまま頭を下げ続けた。
_万屋が隠してた秘密を軽々しく言いそうになっちゃったこと、やっぱり怒ってるよね…?
しばらく経っても沈黙が流れる空間に、私は少しビビる。
……うう、やっぱり土下座した方がよかっ_
「……あーもう何なんですか。いいから頭上げてください」
少し呆れたような万屋の声と共に、ベットがきしむ音が保健室に響いた。
私は、恐る恐る顔を上げる。
すると、そこには……
_メガネを外し、長い前髪をかきあげてベットに座る万屋がいた。