触れたい、できない
「……あっ、万屋_」
「ちょっと黙ってて下さい。あなたここどこか分かってます?うるさいんですよ」
また話だそうとする私を遮るように、ため息をつく万屋。
……で、ですよね。ここは保健室。
私はこの短時間で起こした、自分の非常識な行動の数々を改めて反省した。
「…で?何にそんな謝ってるんですか」
万屋はこちらではなく窓の方に視線をやりながら、口を開く。
私はそんな万屋に縮こまりながら、さっきより音量を下げて話した。
「あの…お昼教室の近くにいたよね?それで、私が蓮に万屋の秘密話しちゃいそうになったのを謝ろうと思って_」
「ああ。なんだそんな事ですか」
私が言い終わる前に、気だるげに返事をする万屋。
私はその返事に、は…と思わず声を漏らしてしまった。
「……え?万屋それで怒って教室に来なかったんじゃないの…?」