触れたい、できない




「…………はい?」




微妙な間が空いたあと、万屋は口を開いた。



それも、心の底からのはい?だ。



あ、れ………違うの?



てことは私……もしかしなくても勘違いした?






_私は急に恥ずかしくなり、バッと下を向いた。



うわあぁ自意識過剰だった?!つい、思考が固まっちゃって…!



そうだよね、そもそもあの人影が万屋だったって言う確証もないのに!



それにも関わらず、こんな迷惑なこと…




「ふっ……そんなことで僕が授業休むとでも思ってたんですか」



うつむいて唸る私を、鼻で笑う万屋。




「違いますよ。家の用事で早退するので、それまでここで待たせてもらってるだけです」




え、用事……?




私は顔を上げた。




良かった…とりあえず体調悪くて休んでた万屋に押しかけたことにはならなくて…





「ほんと…ごめんね……」




もう一度謝る私に、万屋はため息をついて、もういいですと宥めた。
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