触れたい、できない




「……というか貴方、結局言わなかったじゃないですか。なのになんで謝りに?」




「いや、そうなんだけど……」



なんて言うか、そういう問題じゃないじゃん?!人の秘密を言いそうになったっていう心置きからもう……




_私がぐるぐる考えている間も、窓の外を見続ける万屋。




綺麗な青い目を細めて外を眺めるその姿に、私は一瞬惹き込まれてしまった。




「…偶然あの場にいましたけど、僕は別に貴方のこと信用してませんでしたし、貴方が蓮さんに言ったところで後から責めたりなどしないつもりでしたよ。見られたのは僕のミスですし」



差し込んだ光が、そう言う万屋の瞳を照らす。



「_なのに貴方は言わずに黙ってくれた。それに加えて僕に気づいた瞬間、駆け寄ってこようとしましたよね。…ほんと、お節介です」




あ、やっぱりあの人影がは万屋だったんだ…



そう思いながらふと万屋の顔を見ると、万屋はいつもよりほんの少しだけ柔らかい表情をしていて。




「…見られたのが貴方で……その、なんですか…マシだったなと思います」




少し小さい声でそう言う万屋。




……マ、マシって…



まあ蓮にはバレちゃうこともあるけど、私は別に人の秘密を口外したがる方ではない。




そういう面では…まあまだマシなのかもしれない………のかな?


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