触れたい、できない
「_とりあえず、黙って下さったのは感謝してるので。別に謝られる覚えなんてありません」
そう、何でもないように言う万屋に、私は不覚にもうるっと来てしまった。
………ぇぇえもう万屋〜!
あんたやっぱり意外といい奴じゃん……!
普通、秘密言われそうになったら本能的に怒っちゃうもんなんだよ?!
なのに…あんたってやつは!
「っ万屋!もう私、絶対誰にも言わない自信あるから安心して!」
まっすぐ万屋の目を見て叫ぶ私。
そんな私の声に、万屋はふっと笑ってメガネを掛けた。
「そうしてくれると助かります」
………あっ、やっとこっち見た。
窓に向けていた視線をこちらに向けた万屋。
そのメガネで隠れた瞳は、やっぱりキレイで。
…本当、なんで隠してるんだろなぁ…
私は疑問を胸に、少しだけ微笑んだ。