触れたい、できない
_ガタン…ゴトン…
一定のリズムが、朝の重たい瞼を睡魔へと誘う。
…ふわーあ。今日は一段と眠いな…
_あの保健室事件から1ヶ月。
私はすっかり隠れ不良扱いで、余計に恐れられた。
1回授業を抜け出しただけでこんな扱い…ちょっと酷くない?
何度も言うけど、そんな派手な見た目してる訳でもないし!…ただちょっとギャップがあるだけで!
それにこの1ヶ月、真面目に委員活動もこなして無遅刻無欠席なんだよ?優等生じゃんね?
それなのにさぁ……
_1度ついたイメージは、なかなか離れないみたいだ。
もちろん女の子から話しかけられることなどなく、友達は出来ていない。
…だから相変わらず、横には蓮がいてくれてる。
眠たい目を擦りながら、私は単語帳を見ている蓮を見た。
_相変わらず、蓮は委員長気質なんだから…
もう委員長では無いとはいえ、中学の時同様とっても真面目な蓮。
ついこっちまで、真面目になろう…と心を入れ替えようと思うほどには。
それに加えて、この爽やかな見た目とバツグンの運動神経。
……相当、モテるんだろうな…
そう思った瞬間、ふと疑問が浮かんだ。
「…ねえ蓮、彼女作んないの?」