触れたい、できない
「はい、1限のホームルームを始めます」
10分休憩の後、始まった高校初の授業。
そして横にはとても背のお高いお方。
見る度、憂鬱になってくる…
「まずは学級委員を決めたいと思います。誰か立候補はいませんか?」
_シーン
10分休憩とは打って変わって静まり返る教室。
…うわぁ、これなかなか決まんないやつだ
担任の跡先生は少し困ったように誰かいませんか?と、もう一度声をかける。
…んんん……高校に入ってからはやらないって決めてたんだけどな
「誰もいないなら、私やります」
困った跡先生の顔を見て、つい手を挙げてしまった私。
ああーもう…こんなんだから毎年やっちゃうんだよ…
「あら本当?助かるわ、ありがとう金光さん」
優しく笑いかけてくれる先生。
…まあ、困ってたんだからしょうがないよね
「紺お前…今年はやんねえって言ってなかったか?」
前の席の蓮が振り向き、呆れたように見てくる。
「だって…困ってたし……」
私が視線を逸らしてもごもご口をこもらせると、蓮はため息をついた。
「……ほんとしゃーねぇな」
そして片手を上げようとしたその瞬間_
「俺、もう1人は万屋がいいと思う〜」
突然、誰かが1人の名前を上げた。