触れたい指先、触れられない心
*Chocolate cosmos*
▼捨てられたわたし。▼
「「あ……」」
同時に発せられた声に目を見開いた。
目の前にいたのはわたしの彼氏。
……と、彼氏の手を握っている見知らぬ女。
「えっと、この人は?」
「あ、いや……その……」
歯切れの悪そうに言葉を濁す彼氏。
妙に勘の良いわたしはすぐに気づいた。
浮気……か。
「ちょっと、この女だれよ」
この何とも言えない空気に痺れを切らしたのか、女が声を上げた。
その女の言葉に、彼氏はハッとする。
「ただの友達だよ」
その言葉は深くわたしの心に突き刺さる。
遠ざかる彼をとがめる気力は、わたしにはもう残っていなかった。