触れたい指先、触れられない心


「何故そんなに顔が赤いんだ……?」


 霞さんは相変わらず冷たい目で問いかけてきた。
 


 こ、こんな状況であんな事されたらそりゃ誰だって赤くなるに決まってるじゃん……この人、素で言ってるの? それとも、言わせたいの……?


「霞さんのせいです……こんなに優しくされたら……」
「な、俺のせいか……?」



「本当に好きになったらどうするんですか……」



 顔が熱い。
 こんな事を言うつもりなんて微塵もなかったのに、気が付いたら口走っていた。



 しまった……


 気が付いた時にはもう遅く、霞さんは困惑したような表情を浮かべた。




「……すまないが、俺にその気はない」




 冷たく放たれた一言に、心が砕かれた。




 振られた……?


 まぁ、分かってたんだけどさ。
 そんなにもストレートに言われると、何ていうか……言葉にならない。



「大丈夫です……分かってました」


 わたしみたいな子供じゃ、この人には釣り合わない。
 この人を笑顔にすることなんて、きっとわたしには出来ないんだろうな。


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