触れたい指先、触れられない心
”ただの友達”かぁ……
「……だったらなんでわたしのこと好きって言ってきたんだよ……っ!」
わたしは足元に転がっていた小石を強く蹴飛ばした。
初めての彼氏だったのに。
初めてあんなに楽しかったのに……
なのに、なんで……
「もういい……なんにも分かんない」
泣きながら途方に暮れて、ただひたすら歩いて。
気が付いたら夜の街を彷徨っていた。
初めて来た夜の街はとても綺麗だった。
キラキラ光るカラフルな明かりに、華やかなミニドレスを纏った女性たち。
見たことない世界に言葉を失った。
「ねぇ、一人なら一緒に飲み明かさない?」
ふと背後から呼びかけられて、振り返った。
そこには、色黒で爽やかな顔立ちの男子がいた。
年齢はわたしと同じくらいだけど……飲み明かすって……お酒、だよね?
「あの、わたし……」
「ほら、行こ」
優しく手を引かれ、わたしは夜の街の奥深くまで足を踏み入れた。
今日だけだもん……大丈夫だよね?