触れたい指先、触れられない心
*Lilac*

▼感情の正体は?▼





 ◇◆◇





 霞さんと離れて一日が経過した。
 久しぶりの自分の部屋にいても、学校にいても、どこにいても落ち着かない。

 気が付くと霞さんの姿を探してるんだ。



「詩音、きょろきょろしてどうしたんだよ」

 そう言ってわたしの肩をたたいてきたのは、親友のマコ。
 ウルフショートヘアと、ぶっきらぼうな話し方が特徴だけど、優しくて面倒見のいい子。

「い、いや……別に?」
「んなわけねぇだろ? 今日になって何度目だよ? もしかして彼氏の事探してんのか?」
「あ……わたし振られたんだった……」
「は?!」


 そうだった……忘れてた。
 わたしアイツに捨てられたんだった。

 どうして今まで忘れてたんだろう。

 そうだ、霞さんといたから……辛いこともなんでも忘れられてたんだ。


「なっ……詩音、泣いてんのか?」
「そ、それでね……知らない女の人と手繋いで歩いてて、わたしのことはただの友達だって……っ」
「詩音を泣かせるなんて……アイツいい度胸してんな……」
「違うの……!」


 違う、アイツに捨てられたのが辛くて泣いてるんじゃない……

 きっと、また霞さんの事を思い出して、それで涙が溢れてきたんだ。



「あのね、マコ……」


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