触れたい指先、触れられない心
そしてわたしは親友のマコに、今まで起こっていた全てを話した。
「そんなことに巻き込まれてたのか……」
「でもね、霞さんはすごいやさしい人なの。きっとわたしを突き放したのだって……わたしを開放するためで……」
「分かってるよ、その霞って男も被害者だろ? 悪いのはその親父だ」
マコはわたしの頭を優しく撫でてくれた。
「もう、本当に会えないのかな?」
「さぁな……詩音が納得いかねぇならあたしも付き合うぜ?」
そう言ってくれるのは本当に心強いけど……
どこに行けば会えるのか見当もつかない。一体どこに住んでるのかも分からなければ、どういう人なのかも。
そう考えてみたら、わたしは霞さんの事何も分かってなかったのかもしれない。
また会いたいとか言っておいて、わたしは霞さんの事なにも……
「最初に出会った場所とか……どうだ?」
マコの提案にハッとなった。
そっか、それが一番最善じゃん。
「その方法があったなんて……見落としてたよ!」
「詩音……案外天然も兼ね揃えてるんだな」
マコはため息交じりに呟いた。
そして、わたしとマコはあのバーへ向かった。