触れたい指先、触れられない心
「そっか、これって好きって事なの?」
「は?! 気付いてなかったのかよ」
「うーん、元カレの事こんな風に思ったことなかったから……」
元カレのこと好きだと思い込んでいたけど……
違ったんだ……
恋って、こんなに辛い物だったんだ。
恋はドキドキとかキラキラしてて楽しい物だと……
あ、でもそれも元カレにはなかったよなぁ。
「恋ってこんなに辛いものなの?」
「さぁ、恋したことないからわかんねー」
「そうなの?!」
「あぁ。めんどくさそうだし、ここでまったりしてる方が楽」
む……まぁ確かに、こんなに辛いの、知らない方がいい感情だよね。
でも、このままじゃ終わらせたくなくて、もっと知りたいって思う。
めんどくさいけど、全然苦じゃなくて……
なんていうか、霞さんの為ならなんだってできそう。
「ほら、この時間越したらもうあの人は来ねぇよ。帰るんだな」
「ちえー……。じゃあまた明日ね!」
そしてわたしは渋々バーを出た。