触れたい指先、触れられない心

 その帰り道、わたしは自分の心と向き合った。


 ずっと聞こえないふりをしてて遠ざけていた、霞さんの言葉……
 ちゃんと思い返してみたらたくさんの想いが溢れてきた。

 その言葉は全部、わたしの為だったんだ。
 わたしの事を思って、あんなふうに突き放すような言葉をはいていたんだって。


 そうなったら、霞さんの本当の心が知りたくなった。
 霞さんはどうしてあの時わたしを突き放したんだろう、本当はあの時何を言おうとしていたんだろう。



 霞さんはなんでわたしにあんなに優しくしてくれたんだろう……。




 もし、あの時に戻れるなら……
 素直に「離れたくない」って言えるのに。


 何回願っても、霞さんはもうわたしの隣にはいない。
 


 ――だから、霞さんを求めてまた明日もわたしは賭けをする。

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