触れたい指先、触れられない心


 当てもなく探しても見つかる可能性の方が低いわけで、わたしの体力はとうとう限界に達してしまった。


 息を切らしながらも道を進んでいく。
 願わくば、この先に霞さんがいてくれたら……



 それだけでいいのに……。




「あ……」


 目の前を通り過ぎたのは、見覚えのある男の人。
 確かこの人は……


 わたしをあの時殴った……サングラスの男。

「あのっ!! 霞さんはどこに……」


 その言葉の途中で、サングラス男の仲間らしき男が三人ほど出てきた。


「何、知り合い?」
「あー、前いたとこでちょっとな」


 前いたとこ……?
 

 わたしは嫌な予感を抱いた。


「お前のせいで俺はクビにされたんだよ。霞? そんな奴知るわけねぇだろ?」



 サングラス男はわたしの胸ぐらを掴んで吐き捨てた。
 わたしのせいで……?



「ごめんなさい、でも……わたしと霞さんはあの廃墟を出ないと……」
「ごちゃごちゃうるせぇよ。おら、コイツは土産だ。連れて帰ろうぜ」

 サングラス男はそう言ってわたしを他の男の前に突き飛ばした。



 これから、何が起こるの……土産って……
 地面に突き飛ばされて全身が痛い。


 きっと逃げることもできない。
 わたしひとりじゃ非力だ。




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