触れたい指先、触れられない心
「……っ?!」
なに……それ
霞って呼び捨てしたり、また会いたいって思ってたとか……またねって意味深な目で見たり……
それって、まだあの女は霞さんの事が好きってこと?
なにそれむかつく……わたしといるのに、わたしの事いないような扱いして……
「詩音、すまない。あいつは……」
「大丈夫です! 行きましょう……?」
無理やり笑顔を作って取り繕ってみる。
大丈夫、笑顔には自信あるし、きっとバレないよ。
それに、泣くのは自分一人の時って決めてるから……。
今は霞さんと過ごせる貴重な時間。こんなことで無駄にしたくない。
◆◇◆
そしてしばらく歩くと、目的地にたどり着いた。
一番最初に目についたのは、壮大な海。
その道沿いにはキラキラのイルミネーションが施された大きな観覧車。白を基調にしたキレイなホテルと沢山のカラフルな建物のコントラストに心が躍る。
そして、わたしたちは海沿いのベンチに腰かけた。
「あの、あとで観覧車乗りませんか?」
「良いが、高い所は苦手なのでは?」
「霞さんと観覧車に乗れるのなら……大丈夫な気がします!」
「フッ、無理をするな」
霞さんは笑みをこぼす。それにつられてわたしも笑顔になる。
あぁ、この時間が一番幸せだ。