触れたい指先、触れられない心
「ごめんなさ……っ、わたし……どうすれば……」
「違う! 詩音のせいでは決してない」
そうは言われても……絶対今のキスが原因なのは明確だし……
できる事ならもう一度チャンスを……
「霞さんっ、すみません……!」
一言詫びを入れた後、わたしは霞さんの身長に合わせるように背伸びをした。
そして霞さんの頬に手を添えて唇を重ねた。
上手なキスの仕方なんてわかんない、どんなキスをすれば霞さんが満足するのかもわかんない……
焦ったわたしは、思わず霞さんの下唇を挟んでしまう。
どうしよう……っ、やらかした……!
「……ッ!!」
霞さんは突然の事に目を見開き、わたしから距離を取った。
どうしよう、これは本気で怒らせてしまうかもしれない……そしたらチャンスどころか破局……
霞さんは口元を手で覆いながら顔を真っ赤に染めている。
そして大きなため息をついた。
どして……? 嫌なのに霞さんは真っ赤……わたしには霞さんが分からない……