触れたい指先、触れられない心

「なんだそれ?! まさか詩音、それを受け入れたんじゃ……!」
「そのまさかです……」
「っはぁぁぁぁぁ?! なんで詩音がそんなこと言われなきゃなんねーんだよ?!」
「わ、わかんないよっ! でも……断ることなんてできなかった」


 マコはわたしに呆れたのか、大きなため息をついた。

「大体な、理由も言わずに距離置こうなんてどんだけ詩音の事馬鹿にしてんだよ!」
「マコ、そんな事言わないで! わたしは、霞さんに本音でぶつかってきてほしいの。無理してまで一緒に居てほしくなんてない」
「だけどよ……もしかしたら……っ、悪い……」


 マコはわたしを傷付けないようにと口をつぐんだ。
 いいんだ、わたしが一番分かってる……

 でも、この空白の時間を無駄にしたくはないって……わたしは考えていた。
 すこしは霞さんのために何かできるようになるために……強くなる方法。


 そう……自分磨き。

 今まで体型なんて気にしたことがなかったわたしは、空いた時間にお菓子をつまんで……学校帰りにスイーツ食べて……っとまあ好き勝手やってきたわけなんだけど……こんなんじゃダメだと改めて気づいたの。


 そして、このすっぴんに限りなく近い薄いメイク……メイクとは疎遠すぎてちゃんと勉強もしてなかったし、習慣もなかった。
 霞さんと今までほぼすっぴんで一緒に居たなんて……恥ずかしすぎて消えたい……

 他にもいろいろある……考え直したらキリがないくらい。

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