からふる。~第5話~
「紗彩ちゃんてさ、元お嬢様って沼口さんから聞いたんだけど...」


「えっ、そうなのぉ?初耳ぃ」



白鳥先輩は話しながらも特大のショッピングカートに食材、トイレットペーパーなどをどんどん入れていく。


ちなみにカートは私と黄海くんの2人がかりで押しております。



「はい、私は生粋のお嬢様です。母はお嫁に来てからずっと専業主婦で、習い事を何個もやっていました。家政婦さんもいましたし、庭師に庭の手入れをしてもらったり、家政婦の他にベビーシッターを雇ってその方に面倒を見てもらったり、家庭教師は教科ごとに別の人が担当していたりしました。私も母と同じように習い事を何個もしていました。ピアノ、習字、華道、茶道、水泳、バレエ、フィギュアスケート...なので7つですね」



習い事してても何一つ秀でるものも無かったんだけどね。



「へぇ~、すっごぉい!」



驚いてくださり、ありがとうございます。



「朱鷺田病院は俺も知ってた。まさかそこのお嬢さんがこんなところにいるなんてね、驚きだよ」



私自身も驚きです。


まさかこんなことになるなんて思ってなかった。


そして、まさか男子寮で働くなんて思いも、考えもしなかった。


だけど部屋はあるし、変な人もいるけど白鳥先輩みたいな尊敬できる人もいるから辞められない。


「じゃあ紗彩ちゃんは業務スーパーも初めて?」


「はい。スーパー自体あんまり行ったことないです」


「そっかぁ。ってか僕にはタメ口でいいよぉ」


「あっ、ごめん」


「いえいえ~」



と話す間にも白鳥先輩は容赦なくかごに入れていく。



「こんなに必要なんですね」


「育ち盛りの男子8人だからね。これだけ買ってもまた明後日買いに来なきゃならない」


「そうなんですか...」



明後日か...。


全然休めないな...。


明後日は沼口さんが帰ってくるから車で来られる。


なら、まいっか。



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