からふる。~第5話~
「よしっ。じゃあ凜くん、お菓子どうぞ」


「やったぁ!」



喜んでアポロを手に取る横で大量にお菓子をかごに入れる白鳥先輩。


もしかして甘いもの好きなのかな?



「どうしたの紗彩ちゃん」


「そのお菓子はどなたが召し上がるのかと...」


「ああ、これ。これは...」


「黒ちゃんの分だよぉ」


「黒ちゃん?」



そういえば今朝も黒ちゃんって言ってた人いたけど、誰なんだろう?


私にとっては謎の高校1年生なんだけど。



「黒ちゃんっていうのは凜くんと紗彩ちゃんと同じ1年の黒羽玲央(くろばれお)。皆とあんまり交流を持ちたがらなくて夏休みはほぼ引きこもり。食事も一緒に取りたがらないし、お菓子しか食べないから部屋で食べてる。ちなみに、紗彩ちゃんのお隣さんだよ」


「隣の部屋の方...」


「うん。ちょっとへんちくりんでぇ、なんかカノジョいるみたいなんだけどぉ、うまく行かないと壁にパンチするんだぁ。確かさあやちゃんの部屋もこの半年で8回穴あけられたよ」



そ、そんな...。


私暴力的な人の隣に住むの?


私の部屋にまで被害が及んだらどうしよう。



「お菓子ばかりだから情緒不安定なんだよ。とはいっても黒羽くんは昔からお菓子しか食べなかったみたいだからしょうがないけど...」



そんな偏食さんがいるとは...。


よくここまで生きてこられたね。


沼口さんも大変だなぁ。


って他人事じゃない!


偏食を直すのも私の仕事のうちだ。


はぁ...。


先が思いやられます。


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